「無言の抵抗」というやり方があることを知った
先日のYahooニュースで「プーチン氏演説に反応なし…各国大使が“無言の抵抗” 戸惑うように見える場面も」という記事を読んだ。またYouTubeにもFNNプライムオンラインでその時の動画が配信されていた。
これを観てそうか、こういうやり方もあるんだなと思ったのだ。じつは半年ほど前の去年の9月に「FT4の初体験(そしてロシアとの交信について思うこと)」でロシアの無線局への対応のことを書いた。
要約
「自分からコールはしないけど、コールされたらコールバックしよう」 実際に戦争に反対をしている多くの人たちがデモをしているし、多くの優秀な若者たちが国外に脱出している。 そういう人がきっと日本のアマチュア無線局と交信したいと思って、友好的にコールしてくるのだとぼくは思っている。 もちろん、コールバックを拒否することもできる。でも日本の局JA2WIGをあえてコールしてくる。背を向けている人ならそんなことはしないだろう。その気持ちを受け止めたいなと思う。 |
これを書いた去年の9月から半年たった今、状況はさらに悪化している。
実は正直いうと、最近のプーチン氏の発言ややっていること、そして今後のことを思うと、とても嫌な想いが増してきていた。そしてこんなふうに友好的な接し方をしている自分に対して、少しずつ矛盾のようなものを感じ始めていた。
考え方が変わった、ある経験
さらにある一つのことがきっかけで、それがはっきりしてきたのだ。
その日もいつものようにFT8の運用を楽しんでいた。一日のコンディションは朝が北米、そして夕方はEU方面が開けてくる、だから午前中は「CQ US」、夕方になると「CQ EU」と指定してCQを出していた。
するとその日の夕方、あるEU Russiaの局がコールしてきた。これにJTDXが自動応答する。そしてQRZ.comでどういう局なのか、どういう人なのかを確認してみるとドキリ。
(写真はボカしてわからなくしたけど、特定できるかもしれないのであえて削除した)
というのはQSLカードだと思うが、軍服にヘルメット姿、そして両腕で重そうな自動小銃を抱えていた。これがQSLカードなのかと驚いたのだ。
(こちらもボカしてわからなくしたけど、特定できるかもしれないので削除した)
さらには3人の家族が軍服姿での記念写真(イベント?)。婦人と思われる人が自動小銃を持って微笑んでいる。しかもスターリンの肖像画までかかげてある。
説明などは何もないが、ぼくはこれらを見て凍りついてしまったのだ。何ともいえない違和感を感じたのだ。あなたはホントにアマチュア無線愛好家なんですか?と。
この経験に最初のニュースが重なって、ぼくは「無言の抵抗」をすることに決めたのだ。敵意じゃないよ、あくまでも「無反応」だよ。そういうやり方もあるんじゃないかと思ったのだ。
その方法はオートシーケンスの変更
結論からいうと、ロシアの無線局とは当分の間、交信をしないことに決めたのだ。これからその方法を書いてみよう。
FT8のJTDXというソフトには「AutoSeq(オートシーケンス)」という機能がある。何かというとCQを出していて、コールされると自動的に応答してくれる機能だ。
今までは「AutoSeq 3」で設定していた。これは「CQを出した後に、デコードが終了するのを待ってから、優先順位やSNRの点で最良の局に応答する」ものだ。
だから「CQ EU」でCQを出して、コールしてきた相手がEU以外の国だっとしても、もちろんロシアだとしても、自動的にソフトが選んで「送信してくれる」のだ。
この便利な「送信してくれる」機能だけど、時には自動で応答してくれては困る場合があるということだね。
ということで、この設定を「AutoSeq 0」変えた。これだとコールしてくれた局の中から、自分が相手を選んで送信することができるようになる。
(○の部分はパワーが0の状態で、せいぜい10W以下しか出ていなかった。それでもアリゾナ州まで飛んでいった)
ただ1つだけ面倒なことは、コールしてくれた相手がいても、それを無視して勝手にCQを出し続けてしまうことだ。だから間髪なく交信したい相手のコールをダブルクリックして、それに応答する必要がある。たいしたことじゃない。
これでCQを出しても応答したくない局があれば、それを「無言の抵抗」で無視することができるようになる。これからはロシアからの局からコールされても、相手が友好的な人かもしれないが応答しないつもりだ。
無言の抵抗というメッセージ
そして、あなたの国の大統領のしたことに対して「無言の抵抗」をします、という心のメッセージを送りたい。これはわかる人には伝わると思うし、伝わらなくてもいい。だいたいぼく一人のこの行動で、どうにかなるということでもない。それでもいい。
ぼくのブログでは、この手の話が好きではないのであえて避けている。それにアマチュア無線は、あくまでも趣味の世界だから、ロシアの無線局とも友好的でありたいとずっと思っていた一人でもある。
戦争当初はロシア国内同士での交信がほとんどだったが、最近ではCQを出すと、多くのロシアの局からコールされるようになった。それが顕著なのだね。なにか裏があるのだろうか?と、うがった気持ちもないわけではない。
でも最近のウクライナの状況をみていると、そしてロシアの一部の人が、アマチュア無線で別の意図を伝えようとしているのを垣間見てしまうと、せめてこれくらいのことはしてもいいじゃないかとも思い始めたのだ。
アマチュア無線の海外交信をしている人はどう行動すべきか
当然のことだけど、多くの人はロシア人との接点はない。でもアマチュア無線、しかも海外との交信をしているぼくのような者は、多くの接点がある。だからこそちゃんとした意思をもった行動しないといけない。あらためてそう思うのだ。
もちろん今日ブログに書いたことは、読んでくれる人にそうして欲しいと言っているのではなく、自分がそう思っているだけだ。逆にそれでもやっぱり友好的であるべきだ、と思う人もいるだろう、なのでそのことは理解していただきたい。
さて、ちなみに、このJTDXというソフトはとても優秀なんだけど、これの元になるWSJT-XはアメリカのK1JT Joe Taylor 氏によって開発されたもの。そしてこれをベースに開発されたJTDXは、ロシアの通信エンジニアUA3DYY Igor氏。
それはそれとして、ぼくはJTDXの方が良いと思っているので使い続けている。近くその比較のことを書くつもりぢゃ。
P.S.
その後について
「AutoSeq 0」に切り替えて数日経過したが、「CQ EU」でCQを出すと、Russiaからのコールが止まらない。今日は無視されたことに腹をたてたのか、CQを止めてからもしつこく十数回も続けてきた。
それって嫌がらせか? でもな、わしはそんなのは何とも思わんぞ。