アマチュア無線

カムバックまでの道のり(アパマンハム)

※この記事は2026年1月15日、一部を読みやすくするために加筆および修正しました。

カムバックしてからの方が楽しく感じる

ずっとできなかったアマチュア無線。再び興味を持ちだしたのが、2007年の4月頃、これは今から8年前の写真だ。ブランク期間は合計なんと20年以上になる。

高校生でアマチュア無線の免許を取得。その後途切れ途切れのブランクを経て、就職後10年ほどたった頃、密かにみた夢がある。

それは「CW(モールス)で世界と交信するという夢」だった。もちろんCWなんかできないんだけど、それが特別にカッコいいと思ったのだ。

その夢の実現のために、無線工学や法規を一生懸命勉強して、CW受信の練習を毎日して、やっとのことで二級のアマチュア無線の免許を取った(当時はCWの実技試験があった)。

浦島太郎の玉手箱?

ところが、その後は夢を果たすことができないでいた。仕事が忙しかったり、子育てで自分の趣味にお金を使うことは無理だった。でもいつかこの夢は叶えたいと思っていたのだ。

そして冒頭の写真のように、今から8年前に、ようやくその第一歩を踏み出すことができた。しかしいざ再開しようと思うと、この8年でいろんなことが変わっていた。

まったく右も左もわからない、まるで浦島太郎の物語みたいだった。ブランク生活が長くて、CWはもちろん最近のアマチュア無線のことはほとんど初心者のぼくだった。

前に進もうとしても、その都度わからないことばかりで困っていた。助けを求めたネットでも、その答えがどこにも書かれていないのだ。

アマチュア無線をやっている人は、そういうことがあまり得意ではないのかもしれないな。仕方がないので、人に頼らずにいろいろ苦労をしながらも楽しんできた。

だから「ぼくの体験が少しでも役に立てればいいな!」と思って書いてみることにした。

アパマンハムならではの大変さ

とにかくぼくの周りには、アマチュア無線をやっている人が誰もいないので、教えてくれる人はいない。なので、自分で調べてやってみる。⋯ 失敗する。⋯ またトライする。

その繰り返しで前に進むしか方法はなかった。でもそれがキングオブ・ホビー・アマチュア無線だと思う。むしろ、その大変さを楽しめばいいんだよね。

さらにぼくにはいくつもの難関があった。特にぼくはアパマンハム(アパートやマンションに住んでいるハム)なので、そのハードルがとても高かった。

① ベランダしかないので、アンテナは小さなモービル用ホイップしか使えないこと。
手すりがないので、アンテナのアースが取れないこと。
③ できるだけ全バンドで運用できるようにしたい。
④ いつかは世界中の局とCW(モールス)で交信したい。

特に②のアースは、アパマンハムの多くが困っていることだと思う。そしてCWのビギナーが少しでも前に進めるように、少しでも参考になればと、ぼくの体験を書いてみたい。

スタート時点のぼくのシャック

とりあえず揃えたのが、FT-817NDという八重洲無線の小型トランシーバーと、HA750Bというノンラジアルタイプのモービルホイップアンテナだ。

このアンテナはオールバンド対応だし、アースを取る必要がないアンテナだ。そしてJA-2というCWパドルを手に入れた。とにかくCWで世界中と交信するのが夢だったのだ。

アパマンハムはアースに悩む

最初の頃はとりあえずは何もわからないので、電波を出すことはなく、もっぱらCWの練習の日々だった。

そして「ワッチ」と言って、いろんなバンドを受信して、今のアマチュア無線がどんな状態なのかを知ることから始めた。

ところが、このHA750Bというアンテナは非常に受信感度が悪い。調べてみると、どうやらこのアンテナの評価は相当低いらしいのだ。

そこで7M用のHF40FXWというモービルホイップを手に入れた。当然だが、このアンテナはアースを取る必要がある。

いろいろ調べたのだが、残念ながら、ぼくのマンションのベランダには、アンテナのアースを取るところがない。ここが一番の問題だった。

どうしていいのかわからない (◞‸◟ㆀ)

ネットで調べると、その対策方法がいくつか書かれてたのでこれを試すしかない。

アンテナのアース部分から電線を繋ぎベランダに這わせてアースの代わりにする方法。S字状にしてみたり、いろいろ配置のパターンを変えたのだが、この方法はダメだった。

次にホームセンターで手に入る金網を這わせる方法。これもいろんな敷き方をしてみたのだが、書かれているようにはうまくいかない。

じゃあということで、5mのラジアル線を何十本も作ってこれをアースにしてみようと思った。数を増やすことで何か違いがあるかもしれない。

この情報もどこかのブログから得た情報だ。でも殆ど効果が出なかったのだ。う〜ん、困ったぞ。ホントに困ったぞ。

そして、とにかく電線や金網を併用し、張り方を少しずつ変えて、その都度SWRを計測することを繰り返した。

なぜかと言うと、パターンを変えると、少しずつだが変化があることが分かったからだ。ということは、うまくすればよい結果が出るかもと思ったのだ。

すると偶然にも良い値になることがある。どうすると良い結果が出るかという理論じゃなく、やってみて結果が良いならそれでいく。そんな感じだった。

ま、とにかくとてもいい加減だが、何とか使える状態までこ漕ぎつけた。ふ〜、疲れた〜。

ただし今はもっと簡単な方法が見つかったよ! これは後で説明しよう。

CW運用の壁

とにかく、電波が出せる状態になったものの、まだまだそう簡単にはいかない。何が問題なのか。それはぼくのCWの送受信能力だ。特に受信がまったくダメだった。

ぼくがわかるくらいのゆっくりしたスピードじゃ、実際の運用では殆ど役に立たないのだ。みんなもっと早いスピードでやりとりをしているからね。

それで、デジタル機器を使う方法を知った。受信した信号をデジタルに変換し、パソコンに取り込み、CWを文字に変換してくれるソフトを使うのだ。

そして受信だけではなく、送信をしてくれるソフトがあるんだよね。こりゃいいかも……。

でもちょっと待てよ。そんな姑息なことをしていいんかい? という意見(もう一人のぼく)もあるが、とにかくそういうものがあるなら、試してみないと気が済まないのだ。

というわけで導入したインターフェイス(USBIF4CW)とDSCW というフリーソフトだが、じゃあと言って、それを使って電波を出すなどという勇気は全くなかった。

なによりも、メンタルの部分がなんともならなかったのだ。ビビリだね。それにデコード率もあまり良くないので、とても使う気にはならなかったわけだ。

最後は自分のスキルだろ!?

つまりは王道を行け!ということなんだろう。
自分のスキルを磨いて、自分の耳で聞いて変換して、自分の手でモールスを打って交信しなさい!という教訓だった。

とはいえ、こういういろんな実験はとても楽しかったのは間違いない。

そして翌日から特訓が始まった。モールスランナーというフリーソフトで一日10分から20分を毎日練習したのだ。最初は全然だったが、毎日繰り返すとその成果がみるみる出てくる。

そして少しずつスピードを早くしていくのだ。これはとても効果があったし楽しくなってきた。YouTubeでアップされている動画をみるとどういうのかがわかるよね。

最初はもっと遅いスピードで始めるけど、だんだん上達していくんよ。さすがにこんなに早いのは上級者だけど、どういうソフトかはわかると思う。

ついに転機が訪れた!

そして2014年の4月に長男が一人暮らしを始めるということで、北側の部屋が空いた。よし、これからは本格的にアマチュア無線に取り組もうと、本気モードに入った。

アンテナを北側に移してみると、びっくりした。今まで聞こえてこなかった全国の広い地域から電波が飛んでくるのだ。これはいい。俄然やる気もりもり、スイッチが入った!

アパマンハムのアースの答えは「こんなに簡単」だった

アースの方法は従来の方法をそのまま移したが、いろいろ実験をしていくうちに、たくさんの電線を張ることや、金網を敷く方法なんか必要ないことがわかってきた。

7MHz帯の場合、たった1本だけ5.1mの電線を張っただけで、問題なし。線を床に這わすのではなく、どちらかというと宙に浮かせるというイメージだ。

それと張り方で変わってくるので、何度も繰り返して調整した。とにかくこれには正直言ってびっくりした。今までの苦労はいったいなんだったのかと……。

でもこういうことなんだろうとわかった。それは何かをトライした結果の「たった1つの結果だけが全てではない」ということだ。

これはぼくにとって大きな心の支えになった。たぶん多くの研究者はそれを実践しているんだろうなあ。(人生もそういうことだろうね)

さらにグレードアップ

その後、リトルターヒルというアメリカ製のオールバンド対応のモービルアンテナ。そしてMFJ-259Cというアンテナのアナライザーも購入した。

このアンテナはスクリュー・ドライバー・アンテナ(SDA)と言う。周波数帯によってコイル部分が電動で移動し長さを変える仕組みだ。日本のメーカーもあるが性能は段違い。

そして付属のコントローラーで、あらかじめ最良ポイントにセットしておくと、無線機からの周波数データを元に適正なポイントにコイルの位置を移動させることができる。

注意:これはFTDX10に変わってから、そのデータが取り出せなくなったので、手動でアナライザで微調整して最適なSWRのポイントにする。

肝心なアンテナ用のアースは、電線を周波数帯ごとの長さに切って、アンテナのアース部分からそれぞれが干渉しないように、宙に浮くように張ってやる。

張り方によってSWRの値が変わるので、アナライザーを見ながら、最適になるように細かく調整を繰り返す。うまくいかないと線を少しずつ切って確かめる。

もちろん長さだけけでなく、張り方によっても変化するので、その地道な繰り返しだった。そしてなんとか全バンドの運用が可能になった。

さらにアンテナはローテーターで回転させるようにしたので、普段はベランダの内側に収納しておき、使う時だけ条件の良い方向に向けることができるようになっている。


これは言葉で説明するより、動画でみてもらった方がわかりやすいね。

実際にIC-705でFT8を運用している事例を動画でどうぞ!


その後無線機もふんぱつして、八重洲のFTDX3000という100W機を購入した。こうして環境が整ったので、CWの練習にもますます力が入った。

そして、ついに初めてのCWで交信することができた。この時の感動は今でも忘れない。

今まで全く勇気が出なくてコールできなかった。でもバンジージャンプのように、えいや〜!と飛び出してしまうと、次からは緊張することもなく交信ができるようになった。

そして電波の状態が良いと海外の局も聞こえてくることがあると、とにかくダメ元でコールしてみた。すると何回かに1回はぼくのコールJA2WIGと呼んでくれることがある。

「おおー!やったー。嬉しいねえ」ホントに。こうして念願の海外局との交信ができるようになった。楽しい毎日だが、ここまでホント長い道のりだったね。

その後、最初に買ったリトルターヒルⅡというアンテナはCWだと50Wまでしか入力できないということがわかった。せっかく100Wで出せるのにちょっともったいない。

ということで100Wでも対応できるタイプ(リトルターヒルHF)を購入した。最初のはバックアップ用ということでいいだろう。

リモート操作にもチャレンジ

その後は遠隔操作に興味をもった。
インターネットを使って、無線機を自宅の別の部屋から操作して交信できるようにしたら面白いかもと思ったのだ。使うソフトはHam Radio Deluxeというアメリカ製のソフトだ。

実はここまで来るのに数ヶ月かかった。どうやってもうまくいかないので、ソフト会社に何度も質問したのだが、最後には「お前の英語は全然わからん」と逃げ出してしまった。

そして、ついに会社のパソコンやiPhoneからも、自宅の無線機を操作できるようなったのだ。もう人には頼らないで自分でいろいろ試行錯誤をしてついに実験成功!

でもこの実験が終わったら、実際に運用するのかというと、正直言ってそこまでやる気はないことに気がついた。ま、何でもチャレンジすることが楽しかったんだね。

JT65との出会い

その後もずっとCWをメインに運用していたのだが、今年はコンディションが悪い日が続いて、さっぱり聞こえないという日が増えてきた。

そんな時にJT65というモードでの交信があることを知ったのだ。「じぇいてぃー ろくじゅうご??」知らないなあ。

このモードは小さな設備で月面通信ができるように開発されたものだそうだ。つまりコンディションが悪い時でも微弱な電波を使って世界中と交信できるらしいのだ。

さっそく、ぼくの持っているFT-817NDという5W機からSignaLinkというインターフェイスを介してパソコンにつなげ、JT65-HF-HB9HQX-Editionで試してみた。

当然だが、この方法での運用は申請する必要がある。

これは凄い!
たった2.5Wの送信出力で、なんと直線距離9,554Kmも離れたアイルランドの局と交信ができたのだ。驚いたねえ。

通常は4級の免許でも10Wで運用しているので、その四分の一のパワーだ。当然マイクでの交信は不可能に近いし、CWでもこういうコンディションでは無理なのにだ。

というわけで、紆余曲折の連続だったが、ここまでうまくいかないことが殆どだった。でも他の人たちができているなら、きっと良い方法が見つかるはずだ。

それでも見つからないときは、一旦離れてみる。でも実は離れているようで、頭のどこかでは考え続けているのだ。ある日、ふと「そうだ!!」と閃くことがある。

それがうまく行った時の喜びはかけがえのないものだった。常に新しいことにチャレンジしていく楽しさ。これはたぶん一生楽しめる世界だと思う。

デジタル時代だからこそ、このアマチュア無線を知って欲しい

今、アマチュア無線を楽しんでいる若者はどれくらいいるんだろうか? たぶん本当に珍しいと思う。でもぼくはできるだけ多くの若者たちにもこの楽しさを知って欲しいと思う。

しかし、残念ながら今のアマチュア無線の世界はおじさんの世界。というか老人の世界になっている。そして、これらの人達はその楽しさを伝えることができていない。

というかそういう意識がない。いろんな記事やブログを見ても専門的すぎたり、むしろ難しくして、どうだ凄いだろう的なものが多く感じる。

ちなみに、ぼくが高校生時代だった頃のアマチュア無線局数は、今の半分くらいだった。ところが、どのバンドもすごく混み合っていた。

(クリックすると拡大表示)
BUSINESS NETWORKより

特に7MH帯は今のようにSSBじゃなくAMだったにしても、空いている周波数を探すのが大変だった。今は閑古鳥が鳴いている50MHz帯でさえとても賑わっていたのだ。

ということはね。アマチュア無線の人口じゃないってこと。つまり活動の活発さや熱意の違いなんだと思う。これからは数じゃなくて質の時代なんだと⋯⋯。

だから、いかにアマチュア無線を楽しくするか、ということをJARLやCQ誌などが、もっと力を入れたらいいと思う。

そして、少しでも多くの若者にも仲間になってもらえるように、ぼくなりに伝えていければいいなと思う。

アマチュア無線はキングオブホビー!

そして、最後に一言。
人生というのは「先の楽しみ」があることで生き方が変わるということだ。少し先にほんの小さな楽しみでもいいから作っておくというか、生まれるようにしておく。

そのことで人生が楽しくなる。これをしないとするでは全く違うということだ。

毎日を成り行きで適当に過ごすのではなく、先の楽しみがいつもあることで、それが励みになるし、楽しみになる。

そのためには先の楽しみを作る小さな努力をすることだ。努力と言ってもたいしたことではない。そのことを意識して生きるだけのことだ。

ぼくがアマチュア無線を楽しめているのは、いつも次はどんな楽しみ方をしようかなと探しているからだ。

それは次はどこへ旅しようかなということでも同じだし、どんな映画を観ようかなということでも同じ。人生はその連続なんだと思う。

そのちょっとしたことができる人とできない人で人生が変わるのではないだろうか?

ちなみに、2018年4月現在のシャックはこんな感じ。DIYでこんなにも変わるもんだと。その後の部屋の変貌は「ぼくの部屋の改造記録」でどうぞ。


ということで、この記事は2026年1月15日に一部を編集しなおしました。とても長いコンテンツになりましたが、参考になりましたでしょうか? 少しでも参考になれば幸いです。

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