今日は一日実験してみよう
定年退職をしてはや9ヶ月がたった。退職して時間はたっぷりあるものの、できることはやっぱり限られている。はたして充実したと思える9ヶ月だったろうか?
ふとそんな疑問を感じたので、毎日の過ごし方をどうすべきか、この機会にあらためて考えようと思ったのだ。そこで今日はちょっと実験的な一日にすることにした。
実験と言ってもさほど特別なことでないが、詳しくは最後の方で書こう。とりあえずその前に、ぼくが過ごした今日一日の出来事をざっと書いてみよう。
① 朝の散歩は気持ちがいい
毎朝の始まりは散歩からだ。最近一気に涼しくなって気持ちがいいなあ。ここは我が家からすぐ近くにある柱公園で、軽いストレッチングや運動をしてから歩き始める。
散歩を始めてからもう3ヶ月たったが、習慣になって全く苦にならないし、むしろ歩かないと気持ちが悪い。でもそろそろコースを変えて距離を延ばそうかと思っている。
② 公園の彼岸花を撮りに
帰宅後、朝食を食べて新聞を読み終えると、カメラを持って先程の公園まででかけた。先日買った「Z fc」とさらに新しく買った単焦点レンズを試してみたかったからだ。
撮りたかったのはこの満開の彼岸花だ。単焦点レンズが面白いのは、こんなふうに独特のボケ感を楽しめることにあるんだよね。
タイトル「花占い:今年の紅白歌合戦は大差をつけて紅組が優勝するでしょう!」
真っ赤な彼岸花の中に1本だけ白い花を見つけた。実は彼岸花の開花期間はなんと1週間しかないらしい。その貴重な花たちに偶然出会えた一期一会に感謝しよう。
③ ギターの弦交換
家に帰って濃い緑茶を飲みながら休憩してるときに、ふと「そうだ今日はギターの弦を交換しよう」と思った。この機会にボディやフレット、指板もキレイにしとこうかね。
交換する弦は、左が「エリクサー・ナノウェブ・フォスファーブロンズ」、右が「マーチン・トミー・エマニュエル・シグネチャー」でどちらもぼくのお気に入りだ。
今回は左のエリクサーにしよう。この弦はとてもきらびやかな音がする、しかもその音が長期に渡って劣化しないので気に入っている。久しぶりの弦交換でメイトンの音色が蘇った。素晴らしい音になったぞ!
④ 新曲の練習
さあ、せっかくギターの弦を交換したので、今日から新曲に挑戦することにしよう。といってもしばらくぶりなので難易度の低い曲を探した。
選んだのはあの「House of the rising sun(朝日の当たる家)」のトミー・エマニュエルバージョンで1分ほどの短い曲だ。ちなみにトミーが弾いてるのは同じメイトンだ。
そしてこれがレッスン動画。トミー自らがそれぞれのポイントで、こう弾きなさいとアドバイスしてくれている。とてもわかりやすい。
さらにこの曲のタブ譜も手に入れたけど、たぶん使わなくても弾けるだろう。
さっそくYouTubeを観ながら練習開始。弦を交換したばかりなので、ものすごいいい音だ。さすがに短い曲で難易度も高くないので、それほど時間がかからないかな。
⑤ 久しぶりにアマチュア無線を楽しもう!
次に久しぶりにFTdx10の電源を入れ、アンテナを外に張り出して全バンドのワッチすることにした。アンテナのローテータやアンテナ内の電動コイルもちゃんと動いた。
そしてコンディションは相変わらずで、7MHzは午前中はあまり聞こえてこない。10、14、18MHzもいまいちで、21MHzのFT8に切り替えた。
さすがにここは安定している。今日は北米、オセアニアまで飛んでいるようで、カナダとニュージーランドの局と交信できたが、CWでのDX通信はまだまだだなあ。
⑥ そして午後からは読書タイム
昼食後、さあ午後からは読書の時間にしよう。これは先日買ってきた3冊の本だが、これらも1冊ごとではなく、並行して読むことにした。
「じい散歩」は面白そう。そして尊敬する田坂広志さんの「死は存在しない」と、齋藤孝さんの「深みのある人がやっていること」、このどちらもタイトルだけで買った。
田坂広志さんの本を多く読んでいるが「人生が変わる一冊」ということで読むことにした。田坂先生独自の考え方が面白くて、時間を忘れるほど夢中で読み始めた。
⑦ 今日から毎日ピアノ練習を再開するぞ
ピアノの練習は毎日欠かさずやってきたのに、この1ヶ月ほどはほとんど休んでしまっていた。今日を境にこれから毎日たとえ10分でもいいので練習することにしよう。
とはいえ驚いたことがある。それはほんとに久しぶりに弾いたのに指が覚えていたのだろうか。すんなり間違えずに弾けたのだ。
それに新しい音源なのでびっくりするほどいい音がする。やっぱピアノはいいわ。夢中になって時間を忘れるほどだった。
そして、いよいよジャズピアノの練習を始めることにしよう。その曲は以前ちょっとだけかじったことがあるTinoさんの「Beautiful love」だ。やっぱジャズはいいなあ。
そしてTinoさんのサイトにスコアとベースのMIDIデータもあったので購入した。
すでに少しだけ練習を始めたけど、ジャズは独特なコードとちょっとだけズラしたバッキング(左手)がとても難しい。でもこれこそがジャズなのだ。面白い!
この後、その内容は書かなかったけど、7つの後に⑧アクアリウムの水槽や水草の手入れと、⑨カメラと写真関連の勉強もそれぞれ1時間ほどやっている。
今日一日、何の実験をしたのかというと
というわけで、今日は9つのことをやってみた。そしてそれぞれの時間を30分か1時間刻みで時計をみながら変えていった。
さて、冒頭に「今日はある実験をする」と書いた。その実験とは一日の過ごし方をどうするかを模索するためだ。
と言っても仕事をするわけではないし、ノルマもないので好きなことを好きな時間だけ楽しめばいいぢゃないか。それが定年後の特権なんだ。そういう考え方もある。
でも果たしてそれでいいのだろうか? と思ったのだ。
時間の使い方は、その密度の問題だ
最近の過ごし方をみると、例えばピアノの音源を吟味して、なんとか苦労して導入までこぎつけた。ところがその新しい音源の使い方を勉強しないといけない。
しないと「いけない」というより、知らないことを知りたくて仕方がないので、それには時間がかかって当たり前のこと。
そうかと思うと新しいカメラを手に入れ、今度はカメラいじりに夢中になるし、写真のことをもっと勉強しようと思い、いろんな本を読み始め実践してみた。
当然ながら、そういうことをやっていると、まったく他のことができなくなってしまう。最近ではピアノやギターの練習、そしてアマチュア無線での交信はほとんどやってない。
そこで考えたのはその時間の使い方、つまりその密度がどうなっているのかだ。
これまでの時間の使い方
今までは上の図でいうと一番上の時間の使い方だった。当然アマチュア無線とか、ギターの練習とかはほとんどやっていない。というかやろうと思わなかったのだ。
一つのことに夢中になると、それしかやらない。他のことはしたくなくなる。一見してそれはよいことのように見えるが、その中身はというと疑問が残る。
今から思えば、その密度はとても粗くて集中しているとは思えない。
それより、一日にいろんなことをやっていくことで、その時間に集中力が高まり、密度が高くなるのではないだろうか。そうすればいろんなことを並行して実行していけるのだ。
以前、時間割方式でやっていたことがあるが、これは事前に一週間分の時間割を決めて、その通りにやっていくという方法だった。ところがなかなか計画通りにはならない。
そこであらかじめ時間割りを決めるのではなく、そのときの気分で「今からピアノの練習を始めよう」と直前に決めるやり方を試してみたのだ。
そして時間を30分とか1時間をひとつの単位にして終わらせ、次のことを始めるのだ。こうすることでその時間は集中できるので、当然密度は上がると思う。
検証してみよう
というわけで、今日一日その方法で過ごすことにした。つまり「実験的」にそれでどうなるのかを自ら検証することにしたのだ。
ただし、検証と言っても数値化できないので、感覚的なものではあるけどそれで充分だ。
やり方は「今から何をやろうか?と考え、そして決めること」から始まる。この「決める」ことが重要だ。そして時間を30分、あるいは1時間と決めてそれを実行する。
合わせてどの時間に何をしたかを日記のように記録してみることにした。記録しないと何をやったのか忘れてしまうからだ。記録は必ず後で役に立つ。
さらに「一日予定表」というアプリを1週間だけ使ってみることにした。このアプリは集計やToDo機能、一行日記もあるので使えるかも。ちなみにサブスクで480円/月だ。
さて結果はいかに
というわけで、今日一日、食事やコーヒータイムなどを挟みながら9つのことをやった。
①散歩、②写真撮影、③ギターの弦交換、④ギターの練習、⑤アマチュア無線、⑥読書、⑦ピアノの練習、⑧アクアリウムの手入れ、⑨カメラと写真関連の勉強と、その都度これからやることを決めてからをやってみた。
振り返ってみると、一つのことに長い時間かけるより、それぞれの密度がとても濃くて集中できた。今日はあえてたくさんのことをやったけど数は問題ではない。
それに一日にこんなにたくさんのことをやったら疲れる。実験だからあえて今日はそうしてみたが、この半分くらいなら余裕で楽しめるだろう、それもわかった。
で、感想はというと、昨日までの一日と今日の一日では全く充実感が違う。満足感が違う。楽しかったなあと実感できたのだ。これが生ききったということなのだろう。
全ては旨い晩酌を呑むために
正直いうと「長い間一生懸命仕事をして、ようやく定年退職したのだから、好きなように自由に気楽にのんびり過ごせばいいじゃないか」という考え方もあった。
でも今思えばむしろそれは逆なのだと思う。なぜかというと、それは70歳を過ぎると「残された時間は短い」のだ。それは間違いない事実なのだね。
自由に過ごせばいいという気持ちでいると「今日一日何をやってたんだろうか?」となり、それが積み重なると「この一年何をしたんだろう?」となる。それは虚しいよね。
それより「今日一日は有意義で楽しく過ごせたなあ」という充実感を持ちながら、旨い晩酌を飲めたらどんない幸せかと思うのだよ。笑
そしてぼくにとって「充実感」とは「成長実感」のことだ。昨日より今日、そして一ヶ月後、半年後、一年後に自分が成長したことを感じられれば、それが一番いい。
ピアノやギターは旨くなったのか、よい写真が撮れるようになったのか、そして人間的な成長はあったのかだ。ぼくにとって「生きる目的は、死ぬまで進歩し、楽しみ続けていけること」なんだね。
というわけで結論
というわけで、これからの毎日の過ごし方を決めた。といってもごくシンプルなものなので難しくなはい。それに探せばきっとこんなメソッドはあるんだろうね。
● 毎日、その都度やることを「決めて」から、予定表に書き込んで実行する
● ピアノとギターの練習は毎日かかさず必ずやる。
● 月に一度はそれぞれの時間の集計をしチェックし、次に活かす
言葉にするととても簡単なことだけど、ポイントはまず自分の意志でこれからやることを決めること、次にそれを実行して、その結果をチェックし、次に活かすということ。
これはPDCAサイクルの基本だけど、あえてそれを意識しなくても、たぶん習慣化すればできることだと思う。
でもね。この過ごし方って決して年寄りだから、ということでもないんじゃないの?って思う。いやむしろ若いうちから、こういう習慣を持つことが大切だと思う。
というのは若いうちから習慣にしないと、年をとってからいざやろうと思っても、なかなかできないのだよ。とにかくジジイはラクしたいんだよ。そう思わないですか?
にんげんだもの
そして、最後にひとこと。
今日は優等生的なことを書いた。でもいつも何か活動的なことをやっていないといけない、というわけでもない。たまにはボーっとして何にもしない時間があってもいい。
疲れたときは、がんばらないで、何にもしないで、ダラダラしている時間も、ときには必要なんだよね。にんげんだもの。。。