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アマチュア無線

リニアアンプ 「HARDROCK-50」製作のその後

一ヶ月半くらい前に「リニアアンプの製作(メイン工程の終了)」というエントリーで「HARDROCK-50」という50Wのリニアアンプ製作キットのことを書いた。

Jimさんのお陰で何とかメイン工程が終わったと書いたんだけど、その続きはどうなっているか? ちょっとだけ気になっている人がいるかもしれない。(このブログはアマチュア無線をやってる人が多く見てくれているので)

ようやくその後の顛末が書けるようになったので、今日はその話題でござる。

あらためてこのキットのことをちょっとだけ説明しよう。
このキットはぼくが持っているQRPトランシーバ「KX2」と「IC-705」の送信出力を50Wまで上げるためのリニアアンプだ。これがあれば移動運用で威力を発揮することができる。なお、移動運用で許可される最大出力はこの50Wになる。

ちなみにQRP用のリニアアンプは殆ど販売されていない(中国製のは見つかるけど使う気にはなれない)。なぜだろう、つまり八重洲ならFT-891MとかアイコムならIC-7100Mとかの移動運用ができるトランシーバを買えってことだろうか。まあ、そういう選択肢もないわけではないけど、それはちょっと話の筋が違う。

こうなるとHARDROCK-50はとても貴重な存在なのかもしれない。日本ではこの存在はあまり知られていないけど、アメリカではかなり評価が高いリニアアンプなのだ。特にJimさんのサポートの評価はかなり高いよ。( eHam.net

HARDROCK-50 HF Power Amp Kit($349.00)の仕様は
■ 対応バンド:160, 80, 40, 30, 20, 17, 15, 12, 10, 6m
■ 入力:5W
■ 送信出力:40-50W (160-10m), 30-35W(6m)

これにぼくの場合は以下のオプションを追加した。
① ATU アンテナチューナーキット
② QSKボードキット(CWのフルブレイクイン時に瞬時に送受信を切り替える)
③ IC-705用インターフェイス
④ KX2用インターフェイス
⑤ RF16HHF1 パワートランジスタの予備
ということで合計$783.4也。

さて、それでは本体のテストが完了したので、①ATU アンテナチューナーキットと③IC-705用インターフェイスの製作を行うことにしよう。ここの説明は今日のメインの話ではないので簡単バージョンで。

まずはATU作りから始める。英語版のマニアルをグーグル翻訳さんに手伝ってもらいながら、コイルを巻いたりパーツをハンダ付けしたりの作業が進む。

こうして完成したATUをシャーシの取り付けてと。

本体との接続をしてと。これで完成!

そしてこれはIC-705のインターフェイス部分。これはとても簡単な作業だった。

とりあえず完成したので、YouTubeで見つけたこのデモの動画を観ながらセットアップとテストをすることにした。

ここで問題発生!
ダミーロードを接続して送信テストをすると、ATU(チューナー)を使用してもSWRが9.4になってしまい下がらないのだ。これでは使い物にならない。

さっそくJimさんに相談のメールを送った。そして親切に原因を探るためのアドバイスをくれて、それに従って一つひとつ原因を調べていった。と言ってもそのアドバイスがどういう意味があってやっているのかはぼくには理解できない。(-_-;)

いちいち「それは何でですか?」と説明を聞くとしたら、もっとややこしくなくなるだろうと思ったしJimさんだって忙しい。だからそれはやめておくことにした。とにかくぼくはここを何とか乗り切りたいのだ。

その後、何度もやり取りをしたけけど、どうも良い結果には至らなかった。ぼくはさすがにもうこれは諦めるしかないなと「ギブアップ宣言」を用意しかけていた。つまり内蔵のATUを使わないで、外付けのATUを手に入れて使うしかないだろうと思っていた。

そして10度目の測定結果を報告し終わると、Jimさんから意外な返事が届いた。
「この時点で、アンプにたくさんの問題がある可能性があります。問題を解決するには、アンプを送っていただく必要があるかもしれません」
つまりJimさんが点検修理してくれるということだった。

それはありがたい! そこでぼくは
「とても感謝します。それではアンプを送りますので、点検・修理の費用を後日お知らせください」と伝えた。

すると
「アンプを動作させるのに費用はかかりません。それは購入価格に含まれています」
という返事だ。さすがにこれには驚いた、と同時にこの会社の姿勢がとても嬉しかった。今どきこういう親切な会社があるんだと。

というわけで、翌日EMSで送ることにした。それが6月の末のことだ。無事修理が成功して戻ってきますように!と祈って郵便局の窓口に差し出した。

そして待つこと1ヶ月余り。ようやくJimさんからの返事が届いた。

" I was finally able to get your Hardrock-50 working correctly. T3 had some problems which is why the power was reading low and the SWR reading was wrong.

L5 also had some problems so I ordered new cores and replaced both T3 and L5. Several of the coax jumpers had untinned braid and the wire was starting to unravel so I replaced all of the coax jumpers.I also discovered a dagages cap in the 6M low-pass filter which is also now fixed.

The amp is all fixed up and ready to send back to you. Please send me your mailing address and phone number so I can prepare the shipping documents. "

グーグルで翻訳すると
「Hardrock-50 を正しく動作させることができました。 T3 にはいくつかの問題があり、それがパワーの読み取り値が低く、SWR の読み取り値が間違っていた理由です。

L5 にも問題があったので、新しいコアを注文し、T3 と L5 の両方を交換しました。 いくつかの同軸ジャンパーには錫メッキされていない編組があり、ワイヤーがほつれ始めていたので、すべての同軸ジャンパーを交換しました。また、6M ローパス フィルターにダメージ キャップがあることも発見しましたが、これも現在修正されています。

アンプはすべて修理され、あなたに返送する準備ができています。 発送書類を準備しますので、郵送先住所と電話番号をお知らせください」

ぼくは嬉しくて思わず「やった〜〜!」と叫んでしまった。

説明を読むと不具合があった原因はぼくの製作の問題で、これらの部分を作り直してもらうことで、全て正常に動作させることができたんだね。何だか申し訳ない気持ちと感謝の気持ちでいっぱいになった。

ちなみにT3とL5はどれかというと、ATUではなく本体に使っているパーツになる。これからこの Hardrock-50を製作するかもしれない人に少しでも参考になればと恥を忍んで書いときます。(製作マニアルHardrock-50 Assembly Instructions PDF

それから同軸ジャンパーはこれだろうか。

さて、退院して帰ってくるぼくの Hardrock-50はUPSなら1週間ほどで届くだろうか。とても楽しみだ。送料の請求はなかったが、こちらから支払いを申し出てPayPalで支払った。PayPalはとても便利でお互いが登録されていると、メールアドレスと金額だけで支払いができる。

というわけで、これにて一件落着! この続きは後日、免許申請や実際の運用などをまとめて書くことにしよう。さあ、今晩の乾杯は何にするかねえ?笑

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