HobbyPCB社の「HARDROCK-50 HF Power Amp Kit」という50Wのリニアアンプ製作キットをのんびり作り続け、今日で2週間ほどたった。(ホントゆっくりだねえ)
とにかく何かを作るというのはとても楽しいことで、できあがってからのことも楽しみなんだけど、一つひとつの作業でぼくの劣化しつつある脳への刺激にもなっている。
そしてアマチュア無線家でもこういうことに詳しい人と、ぼくのように殆ど素人のような人間では、このキットに対する難易度は相当の差があるだろう。とにかくぼくにとっては最初から不安を抱えたキット作りだった。
製作の当初はフィルター回路のトロイダルコアにエナメル線を規定の回数巻いていく作業が中心になる。一見して簡単な作業のように見えるけど、回数だったり巻き方だったり、ここはちゃんとやらないと後々に響くので手を抜けない。
最初のうちはマニアルをiPadで翻訳しながらステップごとに進めていけば良かった。ところがだんだん複雑になってくると、前後の関係をしっかり理解しないといけないので、翻訳後にプリントアウトして、確認しながら進めていく。
当然ながら専門的な内容なのでグーグルさんでは限界があるから、あとは自分でこれを書いた人のことを想像しながら読み取っていかないといけない。っていうかぼくの頭ではそれについていくのがやっとで理解するのにとても苦労した。
そーなると、もう頭の中がグチャグチャになってしまうことになる。そんなときは一息入れてお気に入りのコーヒーを飲むことにしている。今日はぼくが焙煎したキリマンジャロの深煎り。これを飲むと不思議に気力が湧いてくるのだ。コーヒーは凄い!
というわけで何とか組み立てが完了したので、いよいよテスト工程に入る。まずは指定された3箇所の抵抗値を測ろう。
そして結果は……。まいどお決まりの不合格。あ〜〜、なんとこんな簡単なテストをクリアできないとは。トホホ (-_-;)
仕方がないので、いったん全部バラして基板のチェックを行うことにした。パーツの取り付け間違いはないか、ハンダ付け不良はないか、ハンダ付け忘れはないかなどを徹底的に調べ上げる。
こんな時にいつも役に立つのが、肉眼では見えないものがハッキリ見えるiPhone用のクローズアップレンズだ。その結果致命的なハンダ付けのショートが1カ所見つかった。これを修正して再度組み立てテストを行うと今度は無事合格! ほっ。(´д`)
そして次のテストはこの図のように実際に電源を入れて電流値を計測する。
この後の説明は今後このキットを作るかもしれない人への参考になるかもしれないので、少々長いけど書いていくことにする。
先ほどのイラスト通り接続して、電源を入れ、#4のジャンパーを外し、スイッチON、そして4カ所のMOSFETの調整ボリュームを規定の電流値になるまで回していく。
ところが「いくら回しても全くメーターが振れない」のだ。というか、なんかさっき変な音がしたけど、気のせいかな?
さあ、困ったぞ。と言っても自分で考えても解決できるわけがないので、HobbyPCBのJimさんにメールを送ってアドバイスをもらうことにした。
するとMOSFETの電圧を調べなさいという返事が返ってきた。そして「MOSFET VR1の調整ボリュームを回して4V以上になるようにしなさい」ということだった。
さっそく試してみるとうまく行った。そのことを伝えると「これは電圧が正しく動作していることを確認するためであり、それよりもあくまで規定の電流値になるようにセットしないといけない」ということだった。
そして「電流が測定できない原因はセットアップが正しくできていないか、テスターのヒューズが切れているかどちらかだ」というアドバイスだった。
さっそくテスターを分解してヒューズを調べてみると、案の定600mAのヒューズが切れていた。Jimさん凄い! というかさっき変な音がしたのはヒューズが切れた音だったんだ。もちろん持ち合わせがないのでさっそくアマゾンで注文した。
そしてJimさんにヒューズが切れていたことと、電流の測定のセットアップはこんなふうにしたと上の画像を添えて送った。
すると「このセットアップなら問題ない」ということ、そして「テスターのレンジを10Aにして電流がどれくらい流れているかを知りたい」という返事だ。
また念のため「MOSFETの調整ボリュームは元に戻してあるか?」と聞いてきた。あっそうか。ぼくはそれを戻していないことに気がついた。だから電流が流れすぎてヒューズが切れてしまったんだな。あるいはプラス側の線をアースに触れてショートさせてしまったか、理由は今となっては定かではないが…。でもやっぱJimさんは凄い!
そして、アドバイスの通りテスターのレンジを10Aにして安定化電源のスイッチを入れ、#4のジャンパーを外してPCBの電源をONにして、もう一度MOSFETの調整ボリュームを回して規定の電流値にセット。よしこれでいい。
これらの結果をJimさんに伝えると。
Yes it sounds like the bias is set correctly. Congratulations.
(はい、バイアスが正しく設定されているようです。おめでとう)
という返事が返ってきた。ついにやったー!
本当に嬉しかったねえ。これもひとえに親切なJimさんのお陰だった。Jimさんはまるでスーパーマンのような人だ。返事の時間を見ると現地で真夜中の4時過ぎだろうが早朝の6時過ぎだろうが、素早くアドバイスを送ってくれた。(いつ寝てるのだろう?)
全てぼくのミスだったり知識不足が原因なのに、そして10回以上もメールしても決して嫌がらずに丁寧に答えてくれた。そのことに心から感謝している。
HobbyPCB社の会社のAbout usをみると「業界最高のカスタマーサービスを備えた高品質の製品を提供します」と書かれていた。メンバーがアマチュア無線の愛好家であり、そういうポリシーがあってこそできるんだなあ。
ぼくもこれまでアウベルクラフトという会社をやってきて、何よりアフターフォローこそが一番大切だと思って、お客さんが納得するまでフォローした。つまり商品は販売して終わりではなくて、そこからが始まりだと思っているからだね。
ということで、なんとかメイン工程が無事終了。明日からは次のステップであるATU(オートアンテナチューナー)作りに入ろう。そして完成後に必要な面倒でしかも苦手な電子申請の書類の準備もそろそろ始めましょうかねえ。
そして今夜は青酎で乾杯しましょうかねえ。