先日買ってきたCQ誌10月号の別冊付録が『「FT4」活用ガイド 』というもので、以前から気になっていたFT8の次のモードFT4が詳しく掲載されていた。
FT4のことはまだ情報が少ないし、FT8が大人気なのであまり注目されていなかったよね。でも今日(木曜の午後)はこの機会にチャレンジしてみることにした。
そのきっかけになったのが「FT8で免許を受けていれば、FT4は運用できる?」という記事だ。疑問形なんだけど結論は運用できるってことだね。じゃあすぐにできるので試してみようと思った。
まずはいつものようにFT8のモードからワッチを開始する。周波数は14.074MHz。やっぱりそこそこにぎわっているようだね。
次にモードをFT4に切り替えてみると周波数が14.080MHzに切り替わる。
周波数はほとんど同じなのに、こっちの電波はあまりみえていないね。それほど運用している人が少ないということだ。それとFT8にくらべFT4の方が受信感度が低くなるということも要因らしい。これが現実なのかな。
しばらくワッチをしていると、オーストラリアのVK3POP局のCQがみえたので、すかさずにコールするとすぐにコールバックされた。初めてのFT4達成!意外に簡単だった。
今までのFT8は送信受信がそれぞれ15秒単位で切り替わるけど、FT4はたったの7.5秒単位で切り替わるのでアッという間に終わる。これはすごいな!
そしてすぐに「VP8LP」という珍しいコールが見えた。おお、これはフォークランド諸島からだ。もちろんすぐにコールしてみた。するとすぐにコールバックされた。新しいエンティティの達成の瞬間だ。なんかFT4って凄すぎる、そう思った。
地図でみるとこの距離だ。南米アルゼンチンの先のフォークランド諸島、直線距離で17,800Km! といってもなかなか実感がわかないよね。
そこで地球儀でみてみることにした。みえん! 完全に地球の裏側だ。それほど遠いところと交信することができたんだなとわかる。凄いことだよね。
結局この日は短い時間にオーストラリア、フォークランド諸島、フィリピン、そして日本の4局と交信することができた。その後一気にコンディションが落ちて全く交信することができなくなった。
続いて『「FT4」活用ガイド 』を読んでいくと、この中にハムログに新しくJT-Get'sという機能が加わったと書いてあった。これは交信結果を、ハムログの新機能で自動的に追加処理をしてくれるものらしい。これは便利かもね。
さっそくダウンロードしてセットアップしてみた。実際に試してみたんだけどどうもうまくいかない。今まではJT-Linkerというソフトがそれをやってくれていて、特に問題はなかったので元に戻した。
というわけで、初のFT4体験が9月22日(木)のことで最初から凄いことがあった期待感もあって、昨日と今日はほとんど一日中FT4(14.080MHz)をワッチしながら他のバンドをワッチしていた。しかし残念ながらまったく受信することができなかった。
それに比べて同じバンドのFT8(14.074MHz)は多くの無線局が出ていた。この違いはやっぱりまだ知られていないからだろうか。そこで今日は夕方から久しぶりにFT8でCQを出してみることにした。
その結果、短い時間にオーストラリア、アルジェリア、フランス、中国、インドネシア、日本、そしてロシアの11局と交信することができた。
ロシアとの交信について思うこと
そうなんだよね。あの「ロシア」の無線局と2局交信したんだね。ウクライナと戦争をしている許せない国。戦争犯罪をしているプーチンの国。あのロシアだ。
ぼくの考え方はそのことは絶対に許せないと思っている。だからロシアのアマチュア無線局との交信はどうするか、それをあらかじめ前から決めていた。
正直いって迷っていた。そして決めたのは「自分からコールはしないけど、コールされたらコールバックしよう」ということだ。これはとても難しいことだよね。
ロシアは広い国だ。ヨーロッパから中央アジア、そして日本の近くまで広がっている。その広大な国に住んでいる人たちの人口は日本より多い1億4,580万人。みんな僕たちと同じ人間だ。そしてアマチュア無線という共通の趣味を持っている人たちがいる。
その人たちはひとりの人間として生きている。日本だっていろんな考え方に人がいる。だからプーチンという大統領が始めたことを、みんなが正しいと思っているとは思えない。戦争はいけないことだ。そして世界と仲良くしていこう、そう思っている人もたくさんいるだろう。
実際に戦争に反対をしている多くの人たちがデモをしているし、多くの優秀な若者たちが徴兵を避けるために、祖国を捨てて国外に脱出している。アマチュア無線をやっている人の中にも、戦争に反対している人もいるだろう。
そういう人がきっと日本のアマチュア無線局と交信したいと思って、友好的にコールしてくるのだとぼくは思っている。そう考えるとアマチュア無線という世界を通じて、電波で直接ロシア人と接していることを肌で実感する。
そういう人たちは日本だけじゃなく、アメリカやオセアニア、ヨーロッパ、アジアの無線局と積極的に交信しているんだね。
もちろん、コールバックを拒否することもできるよ。でもぼくはそれをしない。日本の局JA2WIGをあえてコールしてくる、ロシアの局長の心の中まではわからないけど、背を向けている人ならそんなことはしないだろう。その気持ちを受け止めたいなと思う。
そして、一日でも早くこの戦争が終わって欲しいと願うばかりだ。
P.S.
その後、半年たって考え方が変わった。
そのことを『「無言の抵抗」ロシアとの交信について思うこと』に書いたが、ロシアとの交信を当分の間やめることにした。