帆船模型作りを始めて1ヶ月がたった。
いろいろ試行錯誤しながら、なんとか1回目の板張りまで終えることができた。こうやって帆船の形になってくると、ちょっとした満足感を感じる。
これから外側にウォールナットの板を張っていくのだけど、この下地が綺麗に張れていないと、肝心な上張りがきれいに張れない。
ま、多少の凸凹ができても、ヤスリ掛けや木工パテで埋めれば「なんとかなるだろう〜」小沢昭一的ココロ〜♪ のノー天気な宮坂お父さんみたいで、お気楽にどんどん先に進んできた。
たしかに、なんとかなったのだ。…が、板と板の間の凸凹を埋めるためのヤスリ掛けやペーパー掛け、パテ埋め後のヤスリ掛け、これらの仕上げ作業はヘトヘトになるくらい大変だった。トータル3時間以上も費やしてしまったのだ。こんなことなら、もっとじっくり丁寧に作ればよかったのに……。(と今さら嘆いても遅いが)
このヤスリ掛けペーパー掛け、彫刻刀斜め刃でこそぐ作業(これはかなり有効だった。刃を押し出すのではなく、刃の裏側を使って手前に引っぱってやることで表面が綺麗になる)は、とにかく凸凹をツルツルの表面に仕上げるという目的しかないので、必死に延々と磨き続けた。この作業のおかげで、無心になることができたと言えばそうかもしれない。こんな境地になれたのも久しぶりだった。
とはいえ、とてもじゃないが、ここまでの作業は楽しいという気分というものとはほど遠かった。いい物を作らなくては、みたいな気持ちの方が強かったように思う。こういうのでいいのかなと思いながらも進んできた。別にどこかに出展するわけではないのだから。
それにちょっと頑張りすぎた。ゆっくりじっくり楽しみながら1年かけて作ろう。そう思っていたのに、1枚張ると2枚目が張りたくなる。2枚張ると3枚目4枚目と急いで仕上げようという気持ちになってしまった。楽しいからではない。早くこの工程を終えたくなるのだ。う〜ん。いかんなこれは。明日からは原点に戻ってじっくり亀ペースで作ることにしよう!
とはいえ、ここまでよくやった。自分を褒めてやろう。
さあ次だ。
2回目のウォールナット板(1mm×4mm:薄くて細い)を張る作業は、1回目のシナノキ(1.5mm×5mm)と基本的には同じ。ただ、今度は下地ではないので、より慎重に作業をして行くことだけを心がければよいと思う。
問題はその先の工程だ。今日は作業するのを一切やめて、じっくり先のことを頭の中で組立てる時間にしようと思った。
このキットには親切丁寧と言える工程図面などは付属していない。↑ たったこれだけの図面のみだ。
でも「なんと不親切なキットだ」と怒ってはいけないのだ。むしろ「この図面から創造力を発揮して、自分で手順を頭の中に描いて、自分の方法で作り上げるていくことに意義があるのだよ。りゅうじ君」と自分を納得させ、ひたすら考える。
だから、今やっている作業だけではなく、2歩3歩先の工程を理解しながら進まないと、先になってとんでもないことになる可能性を秘めている。実際に今日はある問題点を先に見つけて修正作業をして事なきを得た。(やれやれ)
そして添付されている懇切丁寧(??)な説明書の次の次の工程「舷牆内側:板張り」の部分を読んだ。
原文は
「Using a pair of flat nose pliers,very careflly twist and pull off all the bulwark tabs above deck level」
翻訳版では
「平端ペンチ1本を使って、デッキ位置より上のブルワーク(舷牆)タブ全てを慎重にねじり、抜き取ってください」
と書いてある。
何て言ってるのか分かる? 少なくとも、ぼくには全く理解できない。
調べてみると、舷牆(げんしょうと読むらしい)は防波壁でデッキの横の壁の部分だ。ここにある出っ張りの部分がタブ。
これをペンチでねじって抜き取れだとー!? (@_@)
まったく理解不能。どうしろというのだ。
この部分は下からつながっているし、切れ目はない。ここにしっかりと木工ボンドで板を接着させたのに、これをねじって取れと????
見てよ。全部でこれが21カ所もあるんだよ。
どう考えたって、この部分がペンチで引っこ抜けるわけがないでしょ。虫歯をペンチで引っこ抜くというのとは分けが違うんだよ。
いや、もちろん、残っている部材で実際にやってみたよ。でもペンチの根本で綺麗に抜けない。もっと下の方からざっくりともぎ取る感じなので、とてもじゃないがそんな事やる気がしない。
もー、こりゃ、笑うしかないな。
帆船模型作りとは、かくも楽しいものなんだとわかってきたぞ。(なんか変は気分だ)
怒るな。笑うな。興奮するな。冷静になれ……。
これは絶対ぼくを試しているに決まっているのだ。大きく深呼吸をして、冷静に冷静に……。とにかく、気持ちを立て直すことにした。
じゃ、どうしようか。しばらくの間、テレサテンを聴きながら考えた。テレサテン、いいなあ〜♪
そうして一つの方法にいきついた。
よし、こいつを使ってみることにしよう。
ミニルーターに取り付けて使用する「切断ホイール」をモノタロウで見つけた。
こいつで根本(の少し上)から切断してみよう。切断できればあとはなんとかなる。ミニルーターは持っているので、切断ホイールセット4本組送料込み(1,284円)を購入した。
結果はどうなるかわからない。でもペンチで引っこ抜くよりはマシだよね。笑
まだ入口の工程でこんなんだから、これから先どんな楽しいことが待っているのか。なんだかワクワクしてきた。もう多少の困難なんかじゃへこたれないぞ。そんな気分になってきたぞ。楽しいぞ。
というわけで、これからは相当なペースダウンをして、のんびりゆっくり、楽しみながら、確実に前に進んで行こうと思う。