週に一度は焙煎をする。今回は「コスタリカ・カンデリージャ」だ。カンデリージャ農園で作られているコーヒー豆で、いわゆるスペシャリティーコーヒーと評価された豆だってことらしい。スペシャリティーコーヒー協会でのいろんな基準や定義とか、なんか難しすぎるな。
さらに言うと、焙煎技術について、いろんな専門書とか、サイトとか、情報はたくさんある。でもプロを目指そうとしている人なら別だけど、コーヒーを趣味で楽しもうと思っている人は、むしろ知らない方がいいと思っている。
ぼくも一時はかなり勉強した。でも少しずついろんな情報が増えていくうちに、だんだん息苦しくなっていった。楽しくなくなっていった。だから、情報を集めるのはもうやめたし、全部忘れた。
コーヒーの自家焙煎のお店を持とうと思っている人は、それを生業としていくのだから、当然血のにじむような努力をして、多くの人からお金を出してでも買いたい、と思ってもらえるコーヒーを売るのは当然のこと。
でも、自分の楽しみでコーヒーを焙煎したり、ドリップしたり、いろんなコーヒーの味を楽しみたいなら、あまり多すぎる情報はかえって邪魔になるなと思っている。(もちろん、それは個人の自由だけどね)
例えば今回の「コスタリカ・カンデリージャ」という豆は、どういう所で生産されて、品種や精製方法はどうだとか、さらには「ハチミツのような上品な風味」とか
「蜂蜜のような風味を楽しむには、ハイローストやシティーローストがお勧め」とか、まるでワインのソムリエのように、わけのわからない説明を見ると、正直言って「もういいです!」と思ってしまう。
焙煎の方法も「こうやるべきだ」という教科書的な情報を知ってしまうと、そこから離れることができなくなってしまう。でも、ホントは自由にやっていい、だって自分の趣味でやっているんだからね。
火加減はどうした方がいいとか、時間はどうだとか、温度がどうだとか、そういう先入観なしに、今日の気分で仕上がりの焙煎度を決めるくらいで、あとは途中の火加減も、今日はこんな感じでやってみようと自由にやるのがいい。
ぼくの場合は、7~8分で一気に強火焙煎することもあるし、20分くらいかけてゆっくり焙煎するときもある。仕上がりの焙煎度もその日の気分で自由にやっている。
ただし、記録することは忘れない。どういうやり方でこうなったのか、くらいは知っておいたほうがいいからだ。でもデジタルの時計を横に置いて、要所要所で火加減と豆の色具合をiPhoneで記録しておくくらいのこと。
焙煎の途中はコーヒー豆と会話をしながら進めていくと、とても楽しく感じるはずだ。まさにライブでアドリブを楽しんでいるんだと思える。
今回は最初の10分くらいは弱火で水分をゆっくり抜く感じ、ほんの少し火力を上げてさらに1てハゼを待ち、2ハゼの直前で火力をさらに少し上げてみた。
いつもは煎り始めから12~13分で、かなり深入りまで持っていくのが好きなんだけど、今日はコスタリカなので、そこまで深入りにせずに、火力をセーブして20分かけて終了させた。
プロは何度で何秒という単位で、というデジタル的な数値、プラス自分の感性で焙煎する。でもぼくはアナログの感性だけで焙煎する。この自由さこそが面白いんだ。
まったく何も根拠なんてない。豆と相談してなんとなくそうしただけのこと。つまりテキトーに焙煎しただけ。そういうことができるのが趣味の焙煎なんだからね。
水曜の午後に焙煎して2日たったコスタリカ。今日はアイスコーヒーにして、シロップもミルクも加えないで味わってみた。コスタリカ特有のほんのりした甘みを感じるけど、まるで純米吟醸酒のようなスッキリした味がした。うまい!
ちなみに、このへんでは喫茶店でアイスコーヒーのことをレーコーと言っていた。最近は喫茶店にはいかないし、カフェにもいかないけど、どうなの?