右上がりの時代は終わった
先日書いた内田先生つながりで書いてみる。
先生のブログで「朝日新聞インタビュー(ロング・ヴァージョン)」という記事が昨日アップされた。その中で、今の問題を的確に表現してくれているいくつかを抜粋してみよう。
・右肩上がりの成長はもう無理です。収奪できる植民地も第三世界ももうないからです。投資すべき先がない。だから、自国民を収奪の対象とするようになった。貧者から吸い上げたものを富裕層に付け替え、あたかも成長しているかのような幻想を見せているだけです。
・21世紀の日本は人口減という「成長がありえない経済史的段階」に達しています。その状況において、なお成長の幻想を見せようとしたら、今の政権がしているように、国民の過半を窮乏化させ、国民資源を使い果たすしか手がない。
・世界各地でいま左翼のバックラッシュ(揺れ戻し)が起きています。米国大統領選で(略)… 英国では(略)…カナダでは(略)…。いずれも、どうやって成長させるかより、限りある資源をどう国民に公正に分配していくかを優先的な政治課題にしている。社会的な関心が「成長」から「フェアな分配」に移りつつあるということを映し出しています。
・国会内では「システムを今すぐ根本から変えなければ大変なことになる」と叫びたてるおじさんたちが暴走し、国会外では若者たちが雨に濡れながら「憲法を守れ、立憲デモクラシーを守れ」とそれをたしなめているという不思議な構図でした。これは日本政治史上初めてのものです。
・でも、歴史には必ず補正力が働きます。ある方向に極端に針が振れたあとは、逆方向に補正の力が働き、歴史はジグザグに進む。
いまは針が極端に行き過ぎた後の補正段階に入っている。世界的なスケールでの「左翼のバックラッシュ」も、日本に見られた「暴走する老人とそれを制止する若者たち」という逆説的な構図もその徴候だとぼくは見ています。
少しだけ希望が持てる
ぜひ、全文を読んで欲しいのだが、この記事を読むと少しだけ希望が持てる。
多くの人は今の政府の強引なやり方をおかしいを思っている。国を代表する多くの著名人もおかしいと言及している。さらに法律の専門家たちが安保法制を違憲だと判断した。でもまったくこの政府は聞く耳を持たない。
つまり、政権を取ることが、どれだけ絶大なる権力を持てるのか、という恐ろしい事実をぼくたちは初めて体験しているのだ。
今までの政権は世論を大切にしてきた。政治というのは国民の幸せのためにあるものだからだ。だから世論という大きな力を感じながら、柔軟に進めていく。それがこの国の良さだったのだろうと思う。
しかし、今の政権は、国民の世論など、いちいち聞いてはこの国を変えられないのだ、と言っている。この国のことを動かしているのは俺たちなのだ。まるで戦時中のようで、自己陶酔しているようにもみえる。
しかし、このように国民の世論がほとんど無視されて、ほぼ絶望的とも言える今、幸いにもこのタイミングでとても良いことがある。それは選挙権が18才に引き下げられたことだ。
先ほど書いた抜粋の中で「暴走する老人とそれを制止する若者たち」とあった。もうすぐ多くの若者たちが選挙権を持つことができるようになる。ということは劇的な変化の可能性を秘めているということだ。
これからの時代は若者たちが、自ら自分たちの時代を築いていく時代だ。その力にぼくたちは期待をしていこう。