7MHz QRPトランシーバ「VN-4002」の製作は、2枚目の基板「RF部」に入った。わずか6×8センチの小さな基板に、180個もの部品が密集する作業だ。1枚目の基板はなんとか完成させたが、こちらはその3倍の量になる。作業に入る前にその数に圧倒されて、気が重くなってきた。
ところが、いざ作業を始めると、その心配はどこへ、知らないうちにハンダ付けに夢中になっていた。帆船模型を作っている時もそうだったけど、このハンダ付けの作業も、同じように何も考えないで、ただひたすら基板に向かい合っていた。
この作業はミスが許されないなと思うと、知らないうちに集中力が高まる。と同時に本当に夢中になっている。一切他のことを考えないで、目の前の作業だけに集中しているのだ。いわゆる「無我の境地」という世界に入っている。
そして気がつくと、全ての部品を付け終えていた。すでに夕食の時間もすっかり過ぎていたのに、まったく気がつかなかった。それくらい集中していたのだ。
それだけでなく、これほど長い時間集中して作業していたのに、疲れをまったく感じなかったのはなぜだろう? それに別に急いで作る必要はまったくなかった、むしろゆっくり楽しもうと思っていなのに、なぜなんだろう?
(日にちは変わって)
今日はトロイダルコアとフェライトコアに銅線を巻く作業と、これを基板に取り付ける作業に入った。これが終わると組立は完了する。銅線を決められた数巻くために「1回」、「2回」、「3回」・・・と声をだして、回数を間違えないように集中する。
この作業の休憩中に、ふと閃いたことがあって、作業をいったん中断した。
この集中力が高まっている状態というのは、そうそうあるものではない。せっかく気が高まっている状態にあるので、こういう時にギターを弾いたらどうなるだろうと思ったのだ。
1曲目は「Windy & Warm」。あれ!? いつになくすんなり弾ける! なんか急に旨くなったように感じるぞ。やっぱり、集中力が高まっている状態だと、ギターもうまく弾けるのかなあ。
そして、ちょっと難しい「Angelina」のほうはどうだろう。こっちも驚くほどスムーズに弾けた。今までで一番旨く弾けた! これは単なる偶然ではないと思った。
つまり、人は集中力が高まっている状態、それは「気が高まっている状態」にあるということだと思う。何かがうまくいくときは、やっぱり気が高まっている時なんだと思った。
逆にいうと、気分が乗らないのにギターの練習をしても、あまり効果があがらないってことになる。ってことは「何かをする前に、気を高めておくこと」がどれだけ大切なことかがわかる。
かと言って、さあこれから気を高めるぞと「気合い」をいれたとしても、そんなに簡単に気は高まることはない。ようするにそれなりの方法があって、はじめてその状態になるってことだ。
もう、ずいぶん前のことだけど、毎朝起きてから散歩の途中、近くの公園に寄り、呼吸法で「気功」をして、気を高めてから一日を始めるという習慣があった。この気を高めるということが、どれだけ毎日の暮らしや、仕事でプラスになったかを思い出した。
よし、もう少しして暖かくなったら、また「ぼくなりの気功的生活」を復活させることにしよう。でも、ぼくの場合は気功本にあるような、あんまり難しいことはやらない。呼吸法だけのシンプルはやり方。そしていつも「気」のことを意識して過ごしているだけ、それがぼくなりのってことだ。
今日は基板のハンダ付け作業から、ギターの弾き方、そして気功的生活までうまくつながった。よい一日だった。