吉田拓郎の引退
吉田拓郎のラストアルバム「ah-面白かった」が明日発売となるが、予約販売で注文していたので家に帰るといち早く届いていた。
1970年デビュー以来52年。今年76才でアーティスト活動にピリオドをうつ。「引退という言葉は好きじゃない」とニュース記事に書いてあった。わかる気がする。
『 「The Times They Are a-Changin'」時代は変わる(敬愛するボブ・ディランの曲)これからの時代が何処へ向かうのか? 新しい何が生まれるのか? それこそ「新しい海」での発見や誕生を考えると引退なんて・・「古い言葉」ですよね(好きじゃーねえよーなあー) 』
そうだよな。ぼくもこの言葉にとても共感する。
ディランはこの歌で何度も「時代は変わる」と繰り返していう。そのとおりなあと。
拓郎が引退という言葉ば好きじゃないと言ったように、ぼくも今年の12月20日にその日を迎えるけど、今やっている仕事を辞めるだけで、ぼくの人生はまた次のステップへの準備が始まるわけで大したことじゃあない。そう思っている。
アルバムには歌詞カードの後にライナーノーツが綴られている。そこにはたくさんの曲にまつわる物語が書かれていてとても面白い。
ぼくも思えばこんなエピソードがいっぱいあるよな。そうだ、ぼくのいろんな物語をライナーノーツに書いてみることにしよう。これを見てそう思った。
このアルバムにはDVDがついていて、ここには曲作りの過程などがメイキング映像で収録されている。
著作権の関係でここには載せられないけど、拓郎本人や友人の小田和正との録音風景などまるでその場にいるような雰囲気が伝わってきて面白かった。そして拓郎本人が語る味のあるインタビューもじっくり聞かせてもらった。
ぼくは高校生の頃に吉田拓郎のファンになって、ギターを弾きながら殆どの曲を歌っていたけれど、ずっと追いかけていたわけではない。というより働くようになってからは全く聴いていなかった。
その後、2006年の「つま恋コンサート」の時からまた聴くようになったと思う。直前までそのコンサートに行くつもりだったけど、あまりにも遠い席なのでやめた。結局NHKのライブ放送を観て、これを録画して100回は観ただろうか。笑
吉田拓郎コンサートで感動のエピソード
その後2009年6月から全国ツアーが始まった。このツアーは名古屋を皮切りに8月3日のNHKホールまで全国で10カ所で行われる(予定だった)。
そのチケットを苦労して手に入れて初めてのコンサートに行くことができた。その感動は「特別なもの」だった。だから一生忘れることはないだろう。
開場と同時に続々と観客が中に入っていくが、殆どの人の目当ては拓郎グッズを買うことだった。その列があまりにも長すぎたのでぼくは諦めた。そのお陰で思いも寄らない「特別なもの」を受けとることができたのだ。
グッズは買えないし開演時間まで行く場所もないぼくは、まだ暗いホールの中に入って自分の席に座ろうと思った。するとステージの方でホンノリと暗い照明が当たっていて、何やらかすかに人の動きが見えた。関係スタッフだろうか?
何だろうと思ってステージの方に近づくと、目の前で吉田拓郎本人がギターを持って立っていた。そして数人のミュージシャンが楽器を持って小さな音で演奏を始めたのだ。
その音は小さな音だったし、もちろん館内には流れていない。だから舞台の近くにいる人しか聞こえない。ただ近くにいれば充分なレベルだった。
そして少ない観客たちに笑顔をみせ、伴奏が流れ始めると「たえなる時」を満面の笑顔でうたいだした。
" いま君は〜 あの人を〜 心から好きですか〜♪ いま君は〜 あの人を〜 心から好きですか〜♪ 愛でないものは あるはずがない〜♪ "
これを聴いていたのは、わずか20〜30人しかいなかったと思う。思わず堪えきれないほどの感動と嬉しさで涙がいっぱいこぼれた。まさかこんなサプライズが待っていたとは!
ぼくの人生でこれほど感動したことがあるだろうか。目の前に吉田拓郎がいて、肉声に近い声で歌をうたってくれているのだ。
そしてコンサートが始まると
拓郎は、" 今日の1曲目は「たえなる時に」をサプライズでやりました " と笑顔で話した。これは内緒ですよと言っていたが、このことがネタバレして、次のコンサートからはサプライズではなくなったらしい。その何回か後、残念なことに体調不良によりツアーは中止となった。
人間と人間の関係というのは、今のようにSNSを通じてのつながりもあるかもしれない。でもやっぱり実際に逢って、同じ場所で、同じ時間に、同じ空気を共有することでつながる関係は特別でこれほど深いものはない。
だからこの日をきっかけに、ぼくの人生にとって吉田拓郎は特別な人となった。そして「たえなる時」は特別な歌となった。そのことに意味がある。それでいいと思う。
そしてこのブログのタイトルはこの歌からとっている。
このTシャツはコンサートが終わって、グッズ売り場に行くと唯一買うことができたTシャツだ。「がんばらないけどいいでしょう」と印刷されているね。このTシャツは色があせるほどずっと着た。笑
いつか小さなカフェをつくって、吉田拓郎の歌を歌いたいなあ
ま、ぼくの会社がなくなるということの「寂しさ」というのは、なくはないけど、むしろ面白い会社を作れたこと、そこで生きられたことに感謝している。
そしてぼくの「小さなカフェ」をつくるという夢は、実現の可能性が低くとも、ぜったいに捨てるつもりはない。そのチャンスが来るのをひたすら待ちながら夢みながら、準備をしていくつもりだ。そこで拓郎の「たえなる時」を歌えるといいなあ〜♪