移動運用に使うリニアアンプHARDROCK-50の審査が完了したので、いよいよ移動運用で50W運用が可能になった。
今日は実際に移動運用する前の予行練習として、全ての機器とパソコンソフトを揃えて、システムやソフトがうまく働くかをテストすることにした。
テストするのは実際に電波を出してHARDROCK-50がうまく作動するかということと、使うソフトがうまくいくかの2つだ。
使用する機器は
① IC-705(小型オールバンドトランシーバ)
② HARDROCK-50(50Wリニアアンプ)
③ DM-330MV(安定化電源 移動用に新しく購入)
④ USBIF4CW(CWインターフェイス)
⑤ BaMaKey TP-Ⅲ(ドイツ製小型パドル)
⑥ HP Stream 11-ak(小型モバイルノート)
⑦ Jackery ポータブル電源 700(ポータブル電源)
そして使うソフトは
① ハムログ(交信ログのデータベースソフト)
② CooPHL(ハムログと連動しながらマクロ送信するソフト)
③ Fldigi(受信信号をデコードしてくれるソフト)
の3つだ。
特に②と③は本来は使わないで運用できるのがいい。ようするに自分の耳で解読して、自分の手で思ったことを送信すればいいだけのこと。でも、慣れないうちはこういうものがあった方が、補助的には役にたつのではないか。そう思ったからだ。
ちなみにぼくのCW歴は確かに長い。でも基本はワッチ専門で、交信したい無線局を探す。海外の局が中心だったけど、最近はコンディションが悪いので、国内にシフトしている。当然交信数は少なくなった。
交信したいと思った局が見つかると、そのコールサインを確認してQRZで調べ、タイミングをはかってコールする。だから基本はワッチして探して選んでコールするというスタイルだ。だからCQは出さない。(その勇気がない)
ところがCQ誌8月号「CW運用を楽しもう」をみて考えが変わった。この中に
「むしろCQを出す方がよっぽど気楽だと感じています。それは交信のペースや内容は、CQ側が決めることができるからです」
たしかにそうかもしれないなと思ったのだ。
そこでこれからは今までとガラッとスタイルを変えて、いつか自分からCQを出して交信してみようかなと思っていたのだ。それがまさか今日になるとは。。。
さっそく7MHz帯のCWをワッチしたが、金曜日は平日だからか聞こえてくる局がとても少ない。困ったなこれじゃ予行練習にならんな。
とりあえず送信テストのつもりで、7.006MHzという下の方の周波数で、しかもCWの早さをいつもよりずっと遅い、15WPMに落としてCQを出すことにした。あくまで送信テストである。コールされるという前提ではない。
いつもこちらからコールするときは20WPMくらいなんだけど、これくらい遅くするとコールしてくれる人もこれに合わせてゆっくり送信してくれると思ったからだ。
ま、どうせ誰も呼んでくれないだろうから、とりあえず送信テストってことでCQを出すことにしよう。
CQ1回目、し〜ん、反応なし。やっぱりな。
2回目、反応なし。やっぱり。もう一回やってコールがなければ終わりにしよう。
そして3回目のCQを出すとコールされた。まさか。(@_@)
呼ばれるとは思っていかなったので、心の準備ができていない。頭が真っ白になった。
「おちつけ」。
壁にあるこの掛け軸をみて深呼吸した。ところがこの作戦はみごとに失敗に終わる。
頭の中は真っ白なまま、コールをメモ帳に書いた。いやそっちぢゃないだろう。ハムログにコールサインを入力しろよ。と思っても相手はどんどん信号を送ってくる。
ハムログにコールサインを入力するとCoopHLが連動して、送信したいマクロのキーを押すと送信してくれる便利なソフトだ。でもそれを使う余裕がない。(-_-;)
しかもFldigiはCWのデコードをしてくれるんだけど、条件によっては正しくデコードしてくれない。だから特にコールサインは自分自身でちゃんと判断したい。
なんてコールサインだ? コールサインの一部と「・・ ーー ・・(?)」でもう一度送ってくれと送る。いつもは受信練習ソフトでパーフェクトに解読できるのに、実際にコールされると慌てふためく自分。
そして、なんとかコールを確認してレポートの交換、さらにはJCC(都市コード)、名前の交換をして無事交信完了。といっても送信ミスをなんども繰り返すありさまだった。
ワッチをしていた人はこの人は大丈夫だろうか? と思ったに違いない。トホホ。
とにかく終わった。「ふ〜〜、緊張した〜〜」
ところがホッとしたのもつかの間で、次の局がコールしてきた。どういうこと?
「え?まじか? ちょっと待ってよ」といっても待ってくれるわけない。
知らんぷりするか? いやそれはあかんだろう。とにかくやっとのことでコールを解読して交信完了。と思ったらまた別の局からコールされた。なんでやねん?
というわけで、短い時間に連続して8局からコールされた。まったく予想外のことだったが、その後しばらくワッチしてもコールされなかった。
そこで「TNX CL TNX CL(ありがとうございます。クローズします)」と送ると、数局が「・・ 」と送ってくれた。まだ次のCQを待っててくれてた人がいて、了解したよと答えてくれたのだ。嬉しいねえ。
今日の予想外の展開でわかったことがある。一つは一見静かなようで、多くの局はワッチを続けていることだ。つまり以前のぼくと同じでワッチ派だ。だからあまり聞いたことがないぼくのコールだったから呼んでくれたのだろう。
そしてソフトの使い方に慣れていないので、これらがぜんぜん役に立たなかった。でもちゃんと練習しておけば、コールサインだけ読み取れれば、あとのやりとりはファンクションキーで終わる。
この便利さはやっぱり捨てがたい。だけど、まだ未熟者がそれに頼ってはいけないということだと思う。今日のことでそのことがはっきりわかったような気がする。
もう一つの教訓がある。最初は無理でも少しずつ慣れていけば、ちゃんと自分が思った通りの意思疎通ができるようになる。それを目標にしていけ、という教えだ。
どういうことかというと、まずは交信の基本のパターンがいくつかあるので、それをちゃんとマスターするということが一番最初にやるべきこと。
その上で充分にCQでの交信ができるようになってから、次に便利なソフトを使うことで、より長時間の運用ができるようになる。そのことを理解しておかないとうまくいかないと思った。
今まではCQを出している局をコールしていたけど、立場が変わるとこれほど楽しいものはないとわかった。今日の体験はとても貴重だった。これからは積極的にCQを出すことにしよう。これで50Wでの移動運用の準備完了。さあ、涼しくなったらでかけるぞ〜!
CWをやっているあなた。勇気をだしてCQを出してみよう。ぜったい楽しくなるよ。