先日「コンパクトチェアとKX2、トホホな移動運用 (-_-;)」でアンテナのSWR値が下がらなくて結局運用をあきらめたことを書いたんだけど、今日はその続きを書いてみる。
(MRF社のデータからグラフをつくった)
SWRが高くなると「何が問題なのか」、それを簡単にいうと、トランシーバから出力するパワーが、SWRの値によってその効率が大きく下がってしまうってことだね。
この表をみると例えばSWRが1.5なら96%は出力されるし、SWRが3になると75%まで落ちてしまう。一般的には1.5以下になるようにしようねってことだ。
だから先日のようにSWRが35なんて数値になると、たったの10%くらいしか出ない、10Wの送信出力がたったの1Wくらいしか出ていないってことになるんだね。
そりゃ飛ぶわけないなって思う。じつはその原因はわかっていた。
それは何かというと、いつもは共振周波数を下げるために、アンテナの先端に自作のキャパシティハットを付けているんだけど、この日はワニ口クリップのハンダ付けが取れてしまっていたので、使えなかったのだ。
だからあんな数値になってしまった。それをカウンターポイズの張り方で何とかカバーしようと思ったけど、やっぱり無理だったという話だ。ただ今まではキャパシティハットがなくても何とか使えていた。それが不思議でならない。
今日はキャパシティハットを修理しなおしてテストすることにした。
まずはキャパシティハットなしの状態でSWRを測ると、いつも使うあたりの周波数でSWRが35.80になっている。共振周波数はかなり高いほうにある。
次にキャパシティハットを付けるとSWRは2.43になる。V字の中心の共振数端数が、キャパシティハットを使うことで、こんなふうに下がってくる。
このくらいの数値なら10Wが8Wくらいになるだけなので、チューナーを使えばトランシーバに負担なく使える。そういうことになるんだね。
ただし、実をいうとAX1のSWR調整はとても難しい。カウンターポイズの張り方を少し変えるだけで、値が大きく変わってしまう。
今日もこの2.43になるまでに何度カウンターポイズの張り方を変えただろうか。何度やりなおしても2以下にならないので、正直言ってどこかで妥協するしかない。そういう意味ではとても使い辛いし妥協が必要なアンテナだと思う。
さて、これはぼくがよく観ているK4SWLトーマスさんが同じ組み合わせで使っている動画だけど、この動画では1本のカウンターポイズを張っているだけで、あとはATUでチューニングを取って、特にSWRの測定することなしに電波を出している。
アメリカは(もちろん日本もだけど)、CWの周波数という決まりがなので、7.063MHzでCQを出している。日本でこの周波数で出ても誰も相手してくれないだろうな。
ただし、トーマスさんはPOTAのサイトにコールサインをアップして呼び込んでいるので運用できるのだろう。そのPOTAの話は興味があるのでまたいつかしてみたい。
試しにトーマスさんと同じようカウンターポイズを長くのばして張ってみた。夜の8時ごろにゴソゴソやってると、カミさんが「また変なことしてるー」というが「ただいま実験中〜♪」といって続ける。。。
すると、キャパシティハットなしでもSWRが5.74になった。7.063MHzあたりでSWRは3くらいになり、チューナーを使えばなんとか使える。以前はこの張り方じゃうまくいかなかったぢゃないか、また新しいギモン(ヒント)が生まれたことになる。
このAX1というアンテナを使うということはどういうことか、まとめてみると
① 何よりコンパクトなんだけど、SWRは値はある程度妥協しろってこと。 ② だから必ずチューナーを使えということ。 ③ CWを運用する周波数にこだわらないということ。……ていうかCWだから難しいけど、SSBなら全く問題ないってことね。
こういうことがわかっていないと、ただ「CWでは使い辛いアンテナだ!」という評価をしてしまう。そうぢゃないんだぞ。こういうことをちゃんとわかって使えよ、そういういうことなんだね。
ただ、どうしても日本の場合、CWの運用周波数は7.015MHzくらいまでに限定されるので、なかなか難しい。そこでぼくが車での移動運用に使っているモービルアンテナ「HF40FXW」に変えて同じように調整をしてみた。
こちらに変えるとテキトーにカウンターポイズを張るだけでSWRが1.48になった。これなら簡単に使えそうだ。徒歩以外の移動運用はこちらを使うという方法もある。
ただし、これは以前アンテナ比較をした時の動画だけど、観てのとおりHF40FXWはAX1より感度が格段に落ちる。それを承知のうえで簡単に使えるアンテナにするということだ。う〜ん悩ましい。
とにかくAX1というアンテナは謎が深い。まだまだわからないことだらけだ。それでもとにかく美しく魅力的なアンテナなのだ。ぼくはこれからもこのアンテナとKX2を愛し続けるのだ。そしてこのアンテナの実験には終わりがないのだよ。
昨日買ってきたCQ誌10月号の別冊付録に「FT4活用ガイド」があった。前から気になっていたFT4、そろそろチャレンジしようかねえ。それにしてもアマチュア無線って本当に面白い趣味ぢゃのう。