どのピアノ音源にしたら良いのだろうか?
先日は「広大なDAWの世界を旅する、定年おじさん」で、今までピアノ単体で使っていた「YAMAHA P-121」をDTM用のMIDIピアノとして使い、より幅広い演奏ができるスタジオを作るところまで行った。
ぼくの持っているDAWソフト「Studio one Artist」にはもちろん付属のピアノがあるけど、これは音質が悪くほとんど使えない。そこで新しいピアノ音源を見つける旅に出ることにした。
例によって、このエントリーはこれからこういうことを始めようと思っている人に、少しでも役に立てばと思って書いている。興味のない人にも、こういう楽しい世界があるってことを知って欲しいなと思う。
さて旅を始めたものの、やっぱりこの世界は広大すぎる。あまりにも多くのピアノ音源があって、どれを選んでいいのかさっぱり見当がつかない。それでも一つひとつ丹念に調べていくしかないなと、10日ほどかかってとりあえず14の音源に絞った。
この中でどれを選ぶか決めるために、ぼくなりの判断基準を7つあげた。
① プロレベルのハイスペックなものは不要
② 使い方ができるだけシンプルなもの
③ 音質が自分の好み
④ データ容量は50GB以下
⑤ KONTAKTを介するのは不安
⑥ 価格は3万円以下
⑦ クラシックよりポップス、ロック向き
という2つ消して残り5つだ。なんとなくだけど、できるだけ軽くて分かりやすく、そして自分の好きな音源を選びたいということだ。
ところが後でわかるんだけど、そもそもこの基準が間違いだった。
③の音質が自分好みのものというなら、④のデータ量も⑥の価格も上限を決めてはいけなかった。それに⑦のクラシックとポップスを分けるのも意味がない。
もちろんプロじゃないんだから、さすがに10万もするようなものは買うつもりはない。それにデータ量だって50GBを超えても、外付けのSSDを使えば問題ないのだ。とにかく少なくとも3万円以下という基準だけはやめときゃよかったなと思っている。
最終的に選んだピアノ音源はこれ
ネットで情報を集めながら、YouTubeでも探すといろんなピアノ音源の比較動画がたくさんあるので、これらを聴き比べることにした。たとえばこの動画は10種類あるけど、同じ曲を弾いても音源によってこんなに違うんだということがわかる。
そして14の候補の中から悩んだ末、最終的に選んだピアノ音源は「Addictive Keys Studio Grand」というものだった。
Addictive Keys Studio Grand
データ量も軽く、使い方がわかりやすいし、ロックやポップスなどと合わせやすい音源だ。値段は安いがその割に音質は素晴らしい。
価格:¥12,800
ピアノモデル:Steinway Model D
DLサイズ:0.7GB
ちなみに、Steinway & Sons D-274の値段はなんと! 26,818,000円だと (꒪ȏ꒪)
この演奏はプリセットによって音色をいろいろ変えている。いい音だなあ〜。
この動画では設定をいろいろ変えて試しているが、やっぱりこの動画を観る限りとても良い音がする。
そして値段について、今回ぼくが比較した14種類の音源で一番高いのが¥56,562(調べるともっと高いのもあるけど)、一番安いのがぼくが選んだ「Addictive Keys Studio Grand」で¥12,800だ。
もちろん安いから選んだというのではない。操作性がシンプルでとてもわかりやすいのがいい。そして最終的には音のクオリティは自分で確かめるしかないけど、動画で確認する限り申し分ないと思った。
気になるのはデメリットのこと
さらにいろんなレビューを見てデメリットも調べることにした、その中で気になるのがいくつかあった。
・ソロピアノには向かない(ぼくはソロピアノがメインなんですけどねえ?)
・リアルさに欠ける(本物の音ぢゃあないってことですかい?)
・サンプル数が少ない(だから安いってことですか?)
・粗い(それって音が雑ってことですか?)
など、もっと詳しくレビューを書いているものもある。
しかし、これらがどういう意味なのかぼくにはよく理解できない。少なくともぼくが観た動画の音は素晴らしいものだった。でもやっぱり実際に使ってみないと分からないから購入することにしよう。
購入したのは「イシバシ楽器 WEBSHOP」から、注文するとライセンスキーや手順がかかれたものがPDFで送られてきた。すぐに会員登録から製品登録そしてインストールまで、結構面倒な手順だったがなんとかインストール完了!
その後、MacBook Proの画面だと小さいし見にくいので、会社に置いてあった丁度よいサイズのディスプレイをつないでみた。よしこれでいい。
さっそく音を試してみよう!
さっそくMIDIピアノを接続してStudio oneを立ち上げ、実際に弾いてみる。
さあ、どうだ!?
どんな音だ?
プリセットの音源を選んでいろいろ弾いてみる。。。
う〜〜〜ん。思ったよりショボい ( ノД`)
期待していただけに残念。。。
ぼくはヘッドホンで演奏を聴くからだろうか、細かい部分での欠点をよけい感じるのかもしれない。鍵盤ごとにバラバラの感じがするし、全体的に繊細さに欠ける。
あるレビューで「ソロピアノには向かない」「リアルさに欠ける」とあったが、なるほどこういうことか。
ただし。「Addictive Keys Studio Grand」のマニュアルにはこう書いてあるぞ。
「Addictive Keysを使用すると、ユーザーは EQ、フィルター、ノイズ、コンプレッション、ディストーション、リバーブ、ディレイ、コーラス、フェイザー、トレモロなどのプロフェッショナルなエフェクトを利用でき、フィルター、ピッチ、ボリュームに高度なエンベロープを追加して、これまで聞いたことのない真にユニークなサウンドを作成できます」
ちゅーことだ。
つまり、これら全部で14の機能を使って音作りができるということなんだろう。ホントだろうか? でもそうかもしれない。
DTMならこの音源が最適かも
とはいえ、あくまでもDTM用にと思って選んだわけだし、上を向いたらきりがない。
そこでこの「Addictive Keys Studio Grand」の機能をいろいろ試してみることにした。音作りの EQやリバーブやマイクの位置を変えることで変化があって面白い。
さて、これはぼくが試しに弾いた「春よ来い」の一部だ。この音ってなんかチープに聴こえないかい?ヘタだからかなあ。もっと音作りをすればよくなるんだろうか?
ちょっとだけ調整してみたけど、少しはよくなったかなあ?
ま、それは置いといて、この音源は実際に弾いた音を録音することができ、さらにこれをトラックに書き込むことができる。通常はリアルタイムで弾いたものをトラックに書き込むんだけど、こういう機能はDTMですごく役に立つ。
ほかにもこの音源にはもっともっと便利な機能があるに違いない。とりあえずは「Marvel's Funny Company」のバンド活動で、いろんな楽器を使って1つの曲を演奏するという、当初の目的には充分役に立つ。なのでこの音源はこのまま使うことにしよう。
「YAMAHA P-121」を超える音源を探したい
そして、もう一つの目的の今使っている「YAMAHA P-121」より良い音源を使ってソロピアノを弾いてみたい、という願いを叶えるためにもう少し試行錯誤することにしよう。
いや、今の音が特別悪いというわけではないよ。でも毎日のように、個性的で素晴らしいピアノ音源を聴くようになって、この音に何となく物足りなさを感じていたのだ。
この動画では約1時間半をかけて、10の音源を詳しく紹介してくれている。この中で候補として「GARRITAN CFX CONCERT GRAND 動画ではココ」(税込 ¥34,518)、そして「SYNCHRON FAZIOLI F308 動画ではココ」(税込 ¥43,340)の2つに決めた。
続いて次の2本の動画では、2つの音源で同じ曲を演奏した部分(それぞれ1分ほど)だけを抜き取ってみた。あなたならどちらの音源を選びますか?
GARRITAN CFX CONCERT GRAND
価格:34,518円 データ容量:133GB
ちなみにサンプルピアノ「YAMAHA CFX」の価格:23,100,000円 (꒪ȏ꒪)
SYNCHRON FAZIOLI F308
価格:43,340円 データ容量:174GB
ちなみにサンプルピアノ「FAZIOLI F308」の価格:31,400,000円 (꒪ȏ꒪)
さて、ぼくが選んだのは、迷わず「SYNCHRON FAZIOLI F308」のほうだ。とにかく言葉では表現できないほど素晴らしい音だ。この音でピアノが弾けたら幸せだと思う。
今回のピアノ音源選びでわかったこと
これらの経験であらためて考えてみると、ピアノ音源には1万円台で買える安いものから、5万円以上する高いものもある。
この値段というのは、それなりの機能や音のクオリティと比例する。それだけの手間ひまをかけていることと、それだけの価値があるから、その値段になっているのだね。
そしてクオリティが高くなれば、データ容量も大きくなるのも当然のこと。200GB近くなるなら外付けのSSDを使えば問題ないのだ。
よく「初心者向けならこれでいい」とかいうが、もし本当にこれから長くやっていくつもりなら、初心者というのは関係なく、最初から妥協せずにできるだけハイエンドのものを選ぶべきだって思う。
ぼくが長年やっているアコースティックギターは、5年前にやっとオーストラリア製のメイトンというメーカーの「EGB808TE」を手に入れた。当時30万円(今は40万円)もしたけど、弾きやすさと音質の良さは値段に比例する。
ぜひこのトミー・エマニュエルが弾く「Angelina」を聴いてほしい。どれだけ素晴らしい音なのかがわかると思う。
もし妥協して並のレベルのギターを選んでいたら、これほど夢中になれただろうか、練習を続けてこれただろうか、一生このギターを愛し続けたいと思えただろうか?
それを買うお金がないというなら、がんばってそのためにお金を貯める努力をするってことだ。とにかくそのために他を我慢するってこと。そうやって苦労して手に入れたものは一生の宝物になるのだ。
何が言いたいかというと、どんなものでも「可能な限りハイエンドのものを手に入れる」ってことが大切なんだってことだね。今回のピアノ音源のことでそのことを改めて感じたのである。
とはいえ、せっかく手に入れた「Addictive Keys Studio Grand」なんだから、設定をいろいろ変えて音作りを楽しんでみようと思う。そして今日はこんな驚きの機能を知ったのである。
クラウドで同期する機能がある
ぼくが持っているMacBook Proは三世代(3台)あって、このうちの2台にこの「Addictive Keys Studio Grand」をインストールしている。昨日はたまたま前のMac(Intel Core i7)を使って録音していた。それがこの写真だ。赤く囲ってある部分は録音した履歴だ。
そして今日は今のMac(Apple M1 Pro)を使って録音した。ところが過去の録音履歴をみると、全く同じ時間のデータが残っていた。ひょっとしてクラウドでデータを同期させているのだろうか?
さっそくマニュアルを見ると、やっぱりそうだった。MY CLOUDを使って複数のパソコンで自動的にデータが同期されている。これは凄いじゃないか。あらためて「Addictive Keys Studio Grand」の魅力が加わったのである。
次はJAZZに挑戦しよう!
というわけで、ぼくのバンド活動は一歩ずつだけど、着実に前に進んでいるが、次のテーマはJAZZだ。
これはいつかマスターしたいと思っている「Beautiful Love」という曲だけど、TinoさんのサイトにスコアとベースのMIDIデータの購入先のリンクがあるを見つけた。
これを購入してピアノのトラックを消して、ドラムとベースをバッキングにしてぼくがピアノのパートを受け持つ。新しいピアノ音源を手に入れたら、この曲を練習したいと思っている。今から楽しみだ。