カフェ

“コーヒーサイフォン”という歌

ようこそ、Marvel's Cafeへ……。
いらっしゃいませ。じゃあ今日のコーヒーは、いつものペーパードリップではなく、あなたのために、特別に一人用のサイフォンで淹れてみましょうかね。

というわけで、今日はサイフォン……。
コーヒーの淹れ方での好みはあるんだけど、今はやっぱりペーパードリップ式が主流で、わざわざこんな器具を使ってという人は少ないかもしれない。

サイフォンは上のロートの底の部分に濾過器があり、この上にコーヒーの粉を入れる。下のフラスコにお湯を入れて、この下からアルコールランプで熱する。これは楽しい。まるで科学の実験みたいだね。

お湯が沸騰すると、その圧力でどんどん上のロートに上がっていく。このまましばらくの間ロート内で、コーヒーの粉をかき混ぜながら踊らせること40〜50秒。ここでアルコールランプを外すと……。

上のロートから濾過器を通ってフラスコに、できあがったコーヒーが落ちてくるという具合だ。これは見ていてとても楽しい。

この方式はドリップ式と違って、グラグラに沸かして抽出するので、できあがりはとても熱い。そして味は濃くて苦みが強くでる、と言った印象かな。

比較的低い温度で、お湯を上から静かに落としながら、ゆっくりコーヒー粉の層を通して抽出するドリップ式。それに対して沸騰したお湯を、コーヒー粉の中で踊らせ短時間で抽出するサイフォン式。

これは人それぞれの好みになるけど、ぼくはやっぱりドリップ式がスッキリして一番うまいと思っている。でもね、こういう演出で淹れたコーヒーのほうが、お客さんは喜ぶかもしれないなあ。

コーヒーは「おいしい」だけが全てではない
文章で書くより、動画でそのようすを見たほうがわかりやすいよね。こうして見ると、うん、たしかに見た目はオシャレだし、楽しそうだよね。コーヒーには「おいしいか」どうか、という話とは別に、「楽しいか」どうか、という世界もある。こういうのもいいもんだなあと思うよね。

コーヒーの抽出法のことは、語り始めればいろいろあるんだけど、それより大切な「焙煎」の世界だって、語り始めればきりがない。

でも、その肝心な「焙煎」にしたって、理論に理論を重ねて追求する人もいれば、それよりも「五感」の世界を大切にする人もいる。ぼくはどちらかというと後者の方。

つまり、コーヒーは「おいしい」だけが全てではない。もっと他にも大切なことがいっぱいあるってことを忘れてはいけないよね。

昔話
話は変わるけど、このサイフォンという言葉を聞いて思い出したことがある。ぼくが学生時代に好きだった「古井戸」というフォークデュオに「コーヒー サイフォン」という名曲があった。いい曲だなあ、懐かしいなあ〜♪

大学一年当時、荻窪本天沼の古いアパートの6畳一間で、兄と半年ほど2人暮らしをしていた。兄が商店街のコーヒー屋で豆を買い、ミルで豆を挽き、サイフォンを使ってコーヒーを淹れてくれた。大学生にしてはかなり進んでいたことをしていたと思う。

狭い部屋で、ライオネル・ハンプトンのジャズを聴きながら、淹れ立てのコーヒーを飲む。 “ ぼくらの部屋は 素敵な香りで満たされた〜 ♪ ” この歌のようにまったりと過ごしていた。今もあの頃を思い出す。その古き良き思い出が「コーヒー焙煎キット」を作る、一つのきっかけになったように思う。

 

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